周知のとおり、クライマックスシリーズ第2ステージの真っ最中に、中日ドラゴンズの吉見投手がドーピング規定違反を疑われるという一件があった。

その後、精査したNPB(日本野球機構)が、「正当な医療行為であった」と容認の判定を下したわけであるから、外野がゴチャゴチャ騒ぐことではない。だが個人的には、今回の件で、「選手達にとってニンニク注射は気軽に打てなくなったが、ドーピングの抜け道は用意された」と感じている。NPBが独自に、グレーな静脈注射を禁止する規定を作るなど(たとえば緊急時を除き、全ての静脈注射にNPBの承認を必要とさせる等)、早急に手を打つべきだ。

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WADA(世界アンチ・ドーピング機構)が静脈注射という行為自体を禁止している理由は、薬剤の注入を防止するためではなく、注入した薬剤を希釈する行為を阻止するためである。つまり、検査に引っ掛からないように薬を薄めてしまおうという、不届きな行為を防ぐことこそが、主な目的だ。

注射するモノ自体を取り締まりの対象としていないのは、そんなものは検査したり立証したりできないからである。採尿しても、もともと打っていないから薬剤が検出されないのか、生理食塩水を注入したから検出されないのか、わからないのである。だから、行為そのものを予防的に禁止しているのだ。

「薬剤を注入しているワケでもなく、希釈行為でもないのだから、ニンニク注射くらいでドーピングと騒ぐなんて・・・」という論調が非常に多いのだが、それは「殺人目的でないのだから、護身用にダガーナイフを持ち歩いたくらいで銃刀法違反なんて・・・」と言っているのと同じだ。「そういう問題ではない」と言い切ることができる。

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静脈注射は、糖尿病患者が行うようなインシュリンの皮下注射などとは異なり、基本的に医師による注射に頼ることになる。そうなると、どのような目的であろうが、「医師が行う静脈注射」という時点で、広義に「医療行為」に含められてしまい得る。

たとえば、実際に禁止薬物を注入して試合を行った後、医師を呼んで生理食塩水を静脈に注射して薬物を希釈した後に、ついでにニンニク注射も打って、「ちょっと風邪気味なんて、疲労回復のための医療行為ですよ」と言い逃れをする抜け道を、用意できてしまうことになる。それこそが、静脈注射という行為そのものをWADAが禁止している理由なのだ。それをまず、NPBも野球ファンの皆様も、認識して欲しい。

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プロスポーツ選手は、体力の限界と戦いながら、極限のパフォーマンスをする。だから、ビタミン剤による疲労回復行為に頼りたくなる事情は、本当に痛いほど分かっているつもりだ。

だが、いまはアンチ・ドーピングの世なのだ。NPBがWADAの規定に則っている以上は、医師がカルテを書いたからといって、疲労回復程度の目的で行う静脈注射を、WADAが言う「正当な医療行為」としては、絶対にいけない。もちろん、今回の吉見投手がそうだったとは、言わないが。
もう何年もファンとしてプロ野球を観てきて、私はこれまでに2度、痛烈に寂しい思いに襲われるシーズンを経験した。

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1度目は、原辰徳(以下、敬称略)が引退した年。なぜなら、原は、私が小学1年生のときに野球に出会い、野球を始めたその年に、プロ野球に入団した選手だったから。

そして2度目は、今年だ。私が中学生だった頃、立浪和義がPL学園で甲子園を沸かせていた頃から、私は彼を目標にし、彼の真似をして野球をやってきた。

一時期、野球をやるときは常に、立浪がかつて着用していたものと同じ、sskの赤いリストバンドを両手首につけていた。右打者のクセに、どうやったら彼の「打ったあとのバットの捨て方」を真似できるかと、バカバカしいことに真剣に悩んだものである(私が真似をしたくなる打者は石井琢や福浦など左打者ばかりだから困る)。

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ある雑誌の「引退選手特集」にコラムを寄稿したとき、私は「プロ野球選手の引き際は、潔くなくても良いのではないか」と書いた。テニスをはじめとする他のスポーツ、特に海外では、引退を宣言した後に、「やっぱり辞めるのやめた」と戻ってくるケースは、全く珍しくない。

今年のNFLも観て欲しい。ここ何年も、「引退する」と言い続けながら、40歳になってまだ現役でプレーしているブレット・ファーブの姿を観て欲しい。

アメフトは、野球とは比べ物にならないくらい選手寿命が短い。ファーブは立浪と同じ40歳である。先週のゲームでも魅せてくれた、針の穴を通すタッチダウンパスに、鳥肌が立った。ああいうプレイを観たら、引退の潔さを賛美する雑誌特集にだって、「潔くなくても良いじゃないか」とコラムの1本でも書きたくなるのだ。

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しかし、潔かろうが潔くなかろうが、現役選手は必ずいつかは引退する。気持ちを切り換えて、寂しさは新しいスター選手との出会いで紛らわすしかない。世代交代も、プロスポーツならではの「躍動感」であるから。

あれだけの一番を見せられて、「稽古をしない」とか「ガッツポーズが良くない」とか言うなんて、無粋を通り越して、本当に相撲が好きなのかと疑ってしまう。普通なら、どうしても8勝7敗に終わる大関陣のほうに批判の目が行くはずだと思うのだが。

ガッツポーズを抑えられないというのは、それだけ苦労して努力している証拠である。イチローのように比較的トレーニングを見せてくれるアスリートも居れば、落合博満のように決して見せたがらないアスリートも居る。見せたがらないことのほうに、むしろ日本流な奥ゆかしさや武士道すら感じる。

朝青龍の強さの秘密は、通常の稽古「以上」のことをしていることに他あるまい。優勝決定戦、ほぼ立ち合いの瞬間に掴んだ左の上手を、あの白鵬が全く切ることができない。握力、腕力、肩の筋力、そして背筋力。これだけの上半身の筋力は、横審の前でやるような稽古で培うことは無理である。古びた伝統を脱し、近代的なトレーニングを各部屋がどのように取り入れていくのか。これが、今後の相撲界を面白くする鍵を握っているといえよう。

いよいよNFLが開幕する。チケット売れ残りのニュースなど、景気の悪い話題が多いが、やはりファンとしては楽しみだ。

トム・ブレイディが復活するニューイングランドや、ベン・ロスリスバーガーが安定しているピッツバーグの評判が高いようだ。個人的には、不祥事からヴィックも復帰するフィラデルフィアが楽しみ。あとは、優勝候補というワケではないが、ボルティモアあたりの戦いが面白そうだ。

ところで、民主党の鳩山代表が、総選挙後にルース駐日米大使と会談したときに、母校スタンフォードのアメフトのヘルメットを持ってきたことは記憶に新しい。実は、鳩山代表はタッチフットボールが趣味で、同競技の日本協会会長であることは、あまり知られていない。

アメフトの振興委員会会長なども務めておられ、いろいろな大会の取材のたびに、開会式の挨拶などでお見かけしてきたが、「鳩山総理」となった後にもこうした活動を続けてくれるか、というところを注目している。東大の応物を出ている少数派の理系政治家でもあり、選挙区も北海道であるし、いろいろと期待したいところだ。
とあるところで、今年は中京勢が強いと思う、と書いた。・・・といっても、中京大中京というよりは、県岐阜商を強くプッシュしていたワケだが・・。予選で大垣日大に勝った勝ち方など、「これは強い」と思っていた。常葉橘も、予選で「強そう」と思った学校のひとつ。勝ち進みはできなかったが、やはり、いい野球を見せてくれた。

ところで、県岐阜商。岐阜県は佐賀県などと同じで、県立のステータスが(野球でも)高い。その他の地域の私学より強い「県立」だからといって、そのことを理由に絶賛などすべきではないのだ。私立でも県立でも、素晴らしい戦いを見せてくれた全ての球児を、平等に讃えたい。

さて、次は都市対抗だ!