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アメリカンフットボールのトリックプレーに、「フリーフリッカー(flea flicker)」と呼ばれるものがある。

クォーターバック(QB)がランニングバック(RB)にハンドオフまたは横パスをして、ランプレーかと見せかけておいて、そのRBがスクリメージラインを超える前に振り向いてQBにバックパスし、それを受けたQBがレシーバーにフォワードパスをする、といったプレイ。要するに、ボールが目まぐるしく行ったり来たりする。そのボールを、「蚤(flea)」に見立てたわけだ。

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ところで、日本のアメフトの解説書などを読むと、「flea flicker」という名前は「とび跳ねる蚤(flea)がちらつく(flicker)ように見えることに由来する」と書いてあるものが多い。というより、それ以外の解釈を見たことが無い。たとえば現段階でWikipediaにもそう書いてあるし、漫画『アイシールド21』にも「ノミのダンス」と称する記述があった。

しかし、である。この解釈は間違いだ。「flea flicker」は、決して、「蚤(flea)がちらつく(flicker)」という意味ではない。

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このプレイは、イリノイ大学などでもコーチを務めたロバート・ズプケという人が、オークパーク高を監督していた1910年頃に考案したとされる。「ズプケイズム」と呼ばれる独特な考え方を学生たちに提唱し、アメフト界では有名なひとだった。

スプケは、自身の手紙のなかで、このプレイについて、こう記している。

「このプレイを私がflea flickerと呼んだのは、犬が体に付いた蚤(flea)を慌てて足で弾き飛ばす(flick)様子をイメージしたからだ」

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別に、この言葉を引用などせずとも、日常的に英語を使っているひとであれば、ゴミや虫を指で弾き飛ばすという意味の「flick」という単語を知っているので、flea flickerと言われたら「蚤(flea)を弾き飛ばす(flick)」という意味だな、と考えることになる。

つまりこれは、「flicker」のように語尾に-erが付いた単語は、英語に詳しくない日本人が和訳する際に注意すべきである、という教訓と言えよう。何も考えずに英和辞書で「flicker」を調べてしまうと、「蚤(flea)がちらつく(flicker)」という、何ともオカシな解釈が出てきてしまうのである。無論、かく言う私も、和訳の際には肝に銘じて気をつけていきたい。

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フリーフリッカーで、ボールが目まぐるしく行ったり来たりする様子は、蚤が自分の意思でピョンピョン跳びはねているのでもないし、ダンスしているワケでもない。蚤が何度もはじき飛ばされている、何とも可愛そうな様子なのだ。そう思ってみてみると、今後このプレイに対する印象がガラリと変わるかも知れない。
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