上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
節約アドバイザーの和田由貴氏が、

東京電力管内の約2800万世帯が、それぞれ電球1個をLEDに変えるだけで、131万kWの節電になり、原発1基分の節電になる

…とテレビ番組(TBS『アッコにおまかせ!』)で紹介したことが、いま巷で話題になっている。

たとえばインターネットの検索サイトなどで、「電球 LED 原発」などのキーワードで検索してみてほしい。この話題が山のようにヒットするのが分かる。そして、それを信じているひとが実に多いことも、如実に分かる。

しかし、この和田由貴氏の言説は、皆さんも直感的に「それはおかしいんじゃない?」と思うであろうとおり、単なる数字のトリックであり、厳しい言い方をすれば「ウソ」である。もし悪意がある(メーカーと結託してLEDを販促しようとしているとか)のなら、ほとんど詐欺に近い。以下に、この言説のウソを説明しよう。

 ■

まず、「131万kWの節電になる」という計算結果であるが、明らかに

 50Wの電球を、3WのLEDに変える

という仮定に基づいているものと思われる。即ち、(50W-3W)×2800万世帯=131万kWというわけだ。

一方、たとえば福島第一原発の3号機の電力供給量は、78.4万kWである。これだけ比べれば、確かに「節電できる電力量が、原発1基の電力供給量よりも大きい」と思うかも知れない。しかし、これは間違いだ。この計算が正しくても、各家庭が電球1個をLEDに変えるだけで、原子炉が1基要らなくなるわけではない。なぜなら、

 2800万世帯が、24時間、常にどれか1個の電球を点灯しつづけているワケではない

からである。電球の50Wとか、原発の電力供給量78.4万kWというのは、瞬間値(より正確に言えば、1秒あたりの仕事率)である。2800万世帯が一斉に、いまこのときに、点けている電球を50Wから3Wに切り替えなくては、131万kWの電力を節電できない。

ところが、電球というのは、その性質上、通常は長時間点灯しないところ(トイレ、玄関、廊下など)に使用される。2800万世帯のうち、ほとんどの世帯は、いま(特に電力使用量のピークが訪れる昼間には)、電球を使っていないのである。ちなみに、長時間点灯には蛍光灯が利用されることが多く、蛍光灯の消費電力はLEDとあまり変わらない(この事実もあまり知られていないが!)。

そして、家庭にある電球のどれか任意の1個をLEDに変えても、131万kWは節電できない。直観的にも分かるとおり、1日のうちの使用時間が極端に短い電球をLEDに変えても、節電効果はほとんど期待できないのだ。要するに、2800万世帯の全てに、24時間点けっぱなしの電球が1個あって、その電球を全世帯が一斉にLEDに交換しない限りは、原発1基分の節電ができるとは言えないのである!

ちなみに、私は原発推進論者ではないし、節電や代替発電法を駆使すれば原発は要らなくなると思っている。ただし、この節電というのは、それほど簡単ではないということも言いたいのだ。各家庭が1個の電球をLEDに交換したくらいで、原発1基分の節電ができるなんて、甘すぎるのである。

 ■

ちなみに、「節約アドバイザー」というだけで、私はまず疑ってかかるようにしている。以前観たテレビ番組で、ある節約アドバイザーの女性が、

冷蔵庫の扉を開けても冷気が逃げないようにし、電気代を節約するため、扉の内側に透明なビニールカーテンをつける

という節約術を紹介していた。そのとき彼女が、いかにも「すごいでしょ!」と自信たっぷりに説明した計算によれば、その安い数十円のビニールカーテンの価格分だけ電気代を節約するのに、2年以上要したのである…私なら絶対にやらない。
スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。