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東日本大震災から1年。震災では、小さな子供たちも多く犠牲になっており、本当に心が痛みます。

大きな被害を受けた岩手県の出身である宮沢賢治の作品に、『ひかりの素足』という短編があります。

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吹雪の峠で遭難してしまった幼い兄弟、一郎と楢夫(ならお)。彼らはいつの間にか、死後の世界にいる。弟を必死に励まし、守ろうとする兄。

そこに、眩しく光る足を持つ「巨きな人」が現れる。弟を守ろうと頑張った兄の一郎を褒め、生の世界へ帰ることを許す。一方、弟の楢夫には、この「光の国」にとどまるように言う。

一郎は元の世界に戻り、雪に埋まっていたところを猟師に助けられる。楢夫は、一郎の腕のなかで息絶え、身体は氷のように冷えてしまっていた。

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…悲しい結末ですが、我々読者は、最後の最後の段落で、賢治の「優しさ」のようなものを感じ、少し救われたような気持ちになるのです。

一郎は扶(たす)けられて起されながらも一度楢夫の顔を見ました。その顔は苹果(りんご)のやうに赤くその唇はさっき光の国で一郎と別れたときのまゝ、かすかに笑ってゐたのです。

迫りくる巨大な津波、どれほど怖かったことか、想像もできません。せめて、最期の瞬間だけでも、『ひかりの素足』の楢夫のような、穏やかなものでありましたように。
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