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横浜市は5月20日、今年4月1日現在で保育所への待機児童がゼロになったと発表しました。明るいニュースとして全国的に発信され、大きな話題となっています。

ご存知のとおり、横浜市はわずか3年前まで、待機児童数が全国ワースト1位だったのです。驚くべき偉業とも言えそうですが、これだけの人口を抱えて多様な子育て家庭が存在する横浜市で、待機児童数が「ゼロ」になったなどと言う時点で、にわかには信じがたい気がします。果たして、横浜市の発表は本当なのでしょうか?

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横浜市で子育てをしておられる皆様(実は我が家もそうですが)からすると、横浜市のこの発表は、実態とかけ離れていると感じるのではないでしょうか。私個人としても、ここ数年の横浜市において、保育所への入所状況が改善しているような実感は、全くありません。

国の指針に基づいているという横浜市の「待機児童数」の定義によれば、確かに横浜市の主張はウソではないのかも知れません。実感と乖離した「待機児童数ゼロ」は、この定義にからくりがあるのです。

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横浜市のホームページ(http://www.city.yokohama.lg.jp/kodomo/kinkyu/jidou.html)によれば、「待機児童数」とは、以下のように定義されています。

待機児童数=保留児童数-横浜保育室等入所者数(1)-育休取得者数(2)-特定園等希望者数(3)-主に自宅で求職活動をしている家庭数(4)

つまり、保育所を希望したにもかかわらず入所できなかった児童(ふつうの感覚でいう「待機児童」)の数から、以下の(1)~(4)が除外されるワケです。

(1)には、横浜市ホームページによれば、幼稚園の預かり保育や、乳幼児一時預かり施設の利用者が含まれます。つまり、保育所に入れず、やむを得ず幼稚園やその他の施設の「一時預かり」を利用している児童は、なんと「待機児童数」にはカウントされていないのです! しかも、どの程度の頻度で利用しているかまでは当然問われていないので、ほんの一度でも利用した児童は「待機児童数」から除外されている可能性があります。

(2)は、育児休業中である家庭の児童です。これを除外することは、一見すると真っ当な気もします。とは言え、保育所に預けられれば仕事に復帰できたのに、入所できなかったため仕方なく育児休暇を延長した、といったような場合は、「待機児童数」にカウントされないことになります。その意味では、やはり実情と合っていないように思います。

(3)は、特定の園だけを希望し、近くに空きがあるにもかかわらず入所を希望しない児童です。率直に言って、これが「横浜市の待機児童ゼロ」に多大に貢献していると思われます。通勤で利用する駅に近い認可保育所を希望したが入所できず、駅とは反対方向の無認可保育所しか空きがない…という状況の家庭も、「待機児童」にカウントされません。質に関係なく施設の数だけ増やせば、この③に該当する児童を、ほぼ機械的に簡単に増やせるのです。また、「近く」という定義も曖昧です。たとえば、戸塚駅周辺に住んでいる家庭が、近くの保育所を希望したが入れず、いちばん近い空き保育所は岡津にある…と言った場合も、横浜市のさじ加減で「戸塚と岡津は近い」と認めれば、「待機児童」から除外しようと思えばできてしまうわけです。

(4)は、たとえば母親が自宅で求職活動をしているような場合です。やや定義自体も曖昧なのですが、これが「待機児童」から除外されるのが、最もワケがわからないとも言えます。保育所入所を希望したけれども入所できず、仕方なく自宅でできる仕事を探し始めた、という場合、「待機児童」にはカウントされないのです。

ついでに指摘しておきますが、当然のことながら、(1)~(4)は重複する場合があります。たとえば、(1)と(3)との両方にあてはまる家庭も多いであろうことは、容易に想像がつきます。ところが、横浜市の定義では、単純に数式で(1)~(4)を減算しており、重複を考慮している旨の記載がどこにもありません。重複を考えていないおそれさえあります。そのうち、横浜市の待機児童数はマイナスになるかも知れません。…まあ、そこまで馬鹿ではないと信じたいところですが…。



まとめますが、横浜市の「待機児童ゼロ」という発表は、嘘ではないのでしょうが、実態を何ら反映しない意味のない数字であると言わざるを得ません。少なくとも上述の定義では、作為的に数字を操作することで、「待機児童数」をゼロにしようと思えば、いくらでも簡単にできると思われます。

実質的な環境が何ら改善していないのに、改善しているかのように印象操作してしまうこの発表は、逆にこれからの横浜市、ひいては全国での子育て家庭にとって有害ではないでしょうか。

実績をアピールしたい市や市長のお気持ちは痛いほど分かりますが、もっと真摯な姿勢で本当の課題に取り組んで頂きたいと強く願います。少子化問題は、これからの日本にとって、最も重大な問題のひとつなのですから。
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