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東京パフォーマンスドールが歌う、『Brand New Story』という曲があります(作詞:藤林聖子、作曲:渡辺徹)。

聴いたことがある方はお気づきかも知れませんが、1回聴いただけでかなり激しい既視感、いえ既聴感が襲う曲です。極端な言い方をすると、「著作権法違反」という言葉が頭をかすめるレベルです。

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この曲は、冒頭ですぐサビのメロディに入ります。その中で「止まらない/奇跡が始まる/予~感」と歌う箇所(4分の4拍子、3小節分)が、Every Little Thingの『出逢った頃のように』のサビ部分の「あなたと/出逢った頃の/よ~うに」の旋律およびコード進行と、ほぼ同じなのです。

さらに言うと、その直後の「まっ白な/ スタートライン」(同2小節分)の旋律が、エレファントカシマシの『今宵の月のように』のサビ部分における「いつの日か/ 輝くだろう」の箇所とほぼ同じです。ただし、この部分はJ-POPでは濫用されるベタベタのコード進行で、後者を初めて聴いたときにも、どこかで聴いたような感覚がありましたが。

ついでながら、冒頭でフェードイン気味に、「Brand New Day、Brand New Way」とつぶやくように歌われ、間奏でも同様に繰り返されるのですが、これもどこかで聴いた気がします。trfの『BOY MEETS GIRL』の出だしや間奏などを思い浮かべたのですが、もっと似ている曲があるように思います。

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…とまあ、それほどJ-POPを頻繁に聴くほうではない私が、「つぎはぎで作られた曲」だと感じるのですから、詳しい方が探せば他にもあるかも知れません。

もちろん、新しい旋律を生み出すのは至難の業でしょう。その作業のなかで、聴いたことのある旋律を記憶から引き出してしまうことも、全く仕方のないことです。作曲者が故意に真似したのではないことは、言うまでもなく明らかです。

しかし、これだけ既聴感が漂う曲を作って、誰からも異論が出ないというのも、いささか驚きです。過去の曲から似た旋律を検索する技術も出始めていますが、日本の歌謡界では活用されていないのでしょうか。STAP細胞論文騒動で剽窃発見手法として話題となった類似検索技術を、芸術の世界でももっと活用して欲しいものです。

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ところで、著作権法では、他の著作物に「依拠して」複製した場合、著作権侵害とされます(条文にはありませんが判例で定説になっています)。「依拠する」とは、「故意に真似する」というだけでなく、「知らず知らずのうちに依拠してしまった」場合も該当すると解されます。Every Little Thingの『出逢った頃のように』はあれだけヒットした曲ですし、『Brand New Story』の作曲者の年齢や楽曲提供分野から推しても、何度も耳にしていたことはほぼ確実で、依拠したことは否定できないでしょう。

ここで思い起こされるのは、いわゆる「記念樹事件」です。服部克久さんが作曲した『記念樹』という曲が、小林亜星さん作曲の『どこまでも行こう』と酷似していたために、著作権法違反とされた事件です。この事件では、主要パートの4分の4拍子8小節分の旋律とコードがほぼ同様であったことで、著作権法違反と認定されました。

「記念樹事件」でも微妙な判断で議論になった(東京地裁の一審判決では著作権侵害は否定された)ことを踏まえると、今回の『Brand New Story』は、曲の顔ともいえる主要部の酷似ではあるものの、3小節分のみと(「記念樹事件」に比べれば」)短い部分であるため、著作権法違反とまでは問題とされないであろうと考えます

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ただし個人的には、このような「つぎはぎ」で拵えられたに等しい曲には、著作物としての創造的価値を、ほとんど認めがたいと言わざるを得ません。作曲者や楽曲製作にかかわった皆様の次回作に、ぜひ期待したいと思います。
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